福祉は、すべての人が住み慣れた環境で、安心して暮らせるという考え方に基づいています。
社会福祉の昔の考え方は、経済的に生活に困った人や障がい者・児童という、いわゆる社会的弱者に限定されていました。
その後、欧米の影響でしだいに所得・住宅・雇用保障なども社会福祉の対象になり、一般国民の基本的人権にかかわるものと認識されてきました。
1960年代後半から1970年代は、生活水準の向上のための福祉制度が中心でした。
1980年代には、小子化が急速に進んで、世界一の長寿国になりました。
21世紀の半ばには、人口が2割減って、65歳以上の高齢者が3人に1人という超高齢社会になりそうです。でも、介護の担い手だった家族が、核家族化や少子化といった原因で減少しています。そのため、社会的な制度での保障が課題として浮上してきました。
福祉の理念は、幸せや生活の安定と向上を図ることです。ですから、福祉の実現というものは、病気や障がいがあっても、住み慣れた地域や自宅で安心して暮らしたい、住み続けたいという人の願いを実現することでしょう。
平成12年に社会福祉法が施行されました。これにより、措置制度から利用契約制度への移行や、利用者保護としての地域福祉権利擁護事業、苦情解決の仕組みの導入、社会福祉事業の充実・活性化、地域福祉の推進などを基本的な方向として展開するようになりました。
措置制度というのは、福祉施設に登録されている利用者が実際に利用する、しないに関わらず、国や自治体から措置費がその施設に支給される制度です。
利用契約制度は、措置費と違って、利用した分だけ支給されるもので、措置費に対して支援費といいます。
これらの制度や事業は、住み慣れた地域を中心に介護サービスや福祉サービスを利用しながら、自立した生活を送れるよう支援するものでしょう。
都道府県に設置された社会福祉協議会を主体として地域福祉権利擁護事業が創設され、生活支援員が福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理を支援するようになりました。
また、成年後見制度によって、後見人などが代理人として、財産管理や色々な契約などの後見をするようになりました。
そして、苦情処理や不服申し立て制度などによる権利擁護の体制で、福祉制度は利用者本位を前面に打ち出したものになりました。
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